[Day 74] 白門楼の朝

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[Day 74] 白門楼の朝

三月 · 天下の二人 | 約三分の読み

삼국지 365 · Day 74 · Book 1「星が集まる」
삼국지 365 Day 74 헤더 일러스트
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下邳(かひ)の西の裏門が、開かれたる翌(あく)る日の朝、呂布(りょふ)が、縛(しば)られたるままに、城の高き楼(ろう)の上に、座(ざ)せしめられたり。その楼の名は、白門楼(はくもんろう)にてあった。

白門楼の階(きざはし)は、白かりき。朝の日差しが、その白き結の上に、低く、置かれたり。呂布の両手が、後ろへと、縛られたるままに、楼の真ん中に、座せしめられおったのである。彼の両眼が、深く、沈み込みおりたのである。

その後ろのほうにて、陳宮(ちんきゅう)が、共に、縛られて、座せしめられおったのである。張遼(ちょうりょう)が、階の下に、立ちおったのである。高順(こうじゅん)もまた、階の下に、立ちおったのである。楼の角には、宋憲(そうけん)と魏続(ぎぞく)とが、頭(こうべ)を低く、垂れたるままに、立ちおったのである。

曹操(そうそう)が、楼の真ん中の席に、上り来たり、座(ざ)したり。劉備(りゅうび)が、彼の傍らに、座(ざ)したり。二人の視線が、呂布の顔(かんばせ)の上に、共に、置かれたり。

呂布が、低き声にて、申したり。

「曹将軍。今日、縛られて、この席に、座しおれども、わが弓と、馬の結が、将軍の麾下(きか)に、達せば、天下を、お得(え)給う手が、容易と為(な)り申すべし。なにとぞ、それがしを、お救い給え。」

曹操が、低き微笑を、浮かべたり。彼の両眼が、劉備の顔のほうへと、移り行きたり。

「玄徳(げんとく)。今日の呂温侯(りょおんこう)の言、いかが、お思い給うか。」

劉備が、低く頭を、垂れたり。彼の口が、低く、動きたり。

「曹将軍。曾て、呂温侯が、己(おの)が義父(ぎふ)丁原(ていげん)と、また別なる義父董卓(とうたく)の頭(こうべ)を、己が手にて、お取り給いたることを、お覚え給え。」

삼국지 365 Day 74 중간 일러스트

呂布の両眼が、大いに、開かれたり。彼の口が、低きひと言を、漏(も)らしたり。

「大耳(たいじ)。汝(うぬ)のひと言が、今日、わが頸(くび)の上に、降り立ちたるな。」

「大耳」は、呂布が、劉備の耳の輪を、戯(たわむ)れて、呼びたる別号(べつごう)にてあった。

曹操が、低く、命(めい)を、下したり。

「呂温侯を、楼の下へと、降ろして、刑(けい)を、お執行(しっこう)申せ。」

呂布が、縛られたるままに、楼の下へと、引き下ろされたり。

その後を、続きて、陳宮が、楼の真ん中に、立たしめられたり。曹操が、低き声にて、問いたり。

「公台(こうだい)。汝、古き日に、我を、離れしも、今日、わが前に、立ちおる。我に、戻り来たる手が、ござるか。」

陳宮が、低く頭を、垂れたり。

「主公。今日のこの身は、古き日、主公を、離れたる身に、ござる。その離れの結を、今日、再び、ひっくり返さじ。なにとぞ、それがしの老母(ろうぼ)と、妻子(さいし)のみを、お救い給え。わが身は、今日、楼の下に、お置き給え。」

曹操が、長き沈黙を、呑み込みたり。彼の口が、低く、申したり。

「公台。汝の老母と、妻子は、我が、お護(まも)り申し上げ申さん。汝の身は、今日、楼の下に、お置き給わん。汝の結を、我、永らく、お覚え給わん。」

陳宮が頭を、深く、垂れて、楼の下へと、降り行きたり。

張遼が、楼の真ん中に、立たしめられたり。張遼の両眼が、堅く、成りおりたのである。曹操が、低き声にて、申したり。

「文遠(ぶんえん)。今日、汝の結を、わが幕下(ばくか)に、お迎え申し上げたく、存ずる。」

張遼が、長き沈黙の後にて頭を、深く、垂れたり。

「曹将軍。今日より、この身は、曹将軍の幕下に、置かれ申さん。」

Book 3 の七十四度目の朝が、白門楼の白き階の上にて、しずかに、開かれゆきおりたのである。白門楼(はくもんろう、白き門の楼)の三字が、呂布の縛られたる身と、劉備の低きひと言と、陳宮の老母の名と、張遼の垂れたる頭(こうべ)とが、ひと席に、置かれたるひと息の種子として、植えつけられつつあったのである。Day 73 の 宋魏叛(そうぎはん)の二裏切りの結が、今朝、白門楼の階の上に、集(つど)い立ちおりたのである。

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✒️ 平訳家の一言 — 延三欽博士(Yeon Sam-Heum, Ph.D.)

高き楼の階の上に、ひと時代の結が、ひと席に、共に、置かれゆく朝があり申す。ひと人は、縛られて、降り行き、ひと人は、頭を、垂れて、降り行き、ひと人は、新たなる幕下のほうへと、降り行く事と為(な)る席にござる。今日、貴方の朝にも、楼の階の上に、ひと時代の結が、共に、置かるる席が、もしや、置かれおりてはおらぬか。その置きを、しずかに、覗き見られてはいかがであろう。

📅 明日 Day 75:呂布の最後の息

「白門楼の下にて、呂布の最後の息が、白き石の上に、置かれたり。僭称の欠片の玉璽が、許都の本陣の卓の上へと、上り行く朝が、近づきおりたのである。」 — 平訳家 延三欽博士

平訳 — 延三欽 平訳家 · Sam H. Yeon, Ph.D. · 延三欽博士

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