文 Columnist Kim Mi-hee

言葉が届かないとき、手が先に動きます
介護が長くなると、会話は少しずつ短くなっていきます。食事はされたか、薬は飲まれたか、どこか具合の悪いところはないか。必要な言葉は交わされても、肝心の気持ちを分かち合う言葉は、いつの間にか姿を消してしまうものです。ご両親も申し訳ない気持ちから「大丈夫」という言葉ばかりを繰り返され、介護する私たちも、疲れた心を隠そうとして口数が減ってしまいます。
そんなとき、手は言葉よりも正直です。人の肌は、誰かの温かな手のぬくもりを長く覚えているといわれます。幼いころ、熱のある額にのせてもらった手、お腹が痛いときにさすってもらった手を、私たちは誰もがぼんやりと覚えています。その記憶があるからこそ、何の説明もなくそっとのせた手ひとつが、「あなたのそばにいますよ」という言葉の代わりになってくれるのです。
私はアロマテラピストとして働き、また両親を自ら介護するなかで、このことを繰り返し学んできました。ただ、はっきりさせておきたいことがあります。私がお話しする手のぬくもりは、病気を治すための治療ではなく、心を届けるための慰めの方法です。何かを直そうとせず、ただそばにいる。それだけで十分な日が多いのです。
枕元を「慰めの場所」にする小さな準備
介護の一日はたいてい慌ただしいものです。おむつや薬の袋、食事の支度の合間に、手を差し伸べることはどうしても後回しになってしまいます。そうしているうちに、ご両親に手が触れるのは、ほとんどが「しなければならないこと」をしているときだけになります。着替えをさせ、体の向きを変え、薬を用意する手は忙しい手なので、気持ちを伝えるのは難しいものです。
だからこそ、ごく小さな準備が役に立ちます。タオルを温かいお湯で濡らして固く絞り、しばらく包んでおく。部屋の明かりをひと段階落とす。手に塗るオイルやローションを一本出しておく。その程度で十分です。こうしたいくつかの準備が「ここからはやるべきことではなく、一緒に休む時間」という合図になり、受ける方も差し出す方も、心の速度を落とすことができます。
香りのある製品をお使いになるときは、穏やかな香りのものを少量だけ選び、ご両親がお好きかどうか先にお尋ねください。香りは気持ちを和らげる助けになることがありますが、人によっては馴染みがなかったり、負担に感じられたりすることもあります。無香料のローションでも、まったく不足はありません。大切なのは製品ではなく、「今この時間はあなたのための時間」という雰囲気です。
手から始める慰め、許しを得てゆっくりと
最初から肩や背中のような広い部位に触れようとすると、かえってぎこちなくなることが多いものです。長いあいだスキンシップが減っていたご両親であれば、なおさらです。いちばん楽な出発点は、手と腕です。毎日私たちのために働いてくれたその手を包み込むことは自然で、お互いの負担も少なくてすみます。
「お母さん、手を握らせてね」「お父さん、手が冷たいね、温めてもいい?」。こんなふうにひとこと声をかけて始めてみてください。許しを求める言葉は、ご両親に「自分の体の主人は今も自分」という尊厳をお返しすることでもあります。介護を受ける方々は、自分の体を他人の手に委ねることが多いため、この小さな問いかけが大きな慰めになることもあります。
力はほとんど入れなくてかまいません。温まった手でご両親の手の甲を覆い、指を一本一本やさしくなでるように包んであげてください。表情が曇ったり、手を引かれたりしたらすぐにやめて、「今日はここまでにしましょうか?」と尋ねてあげましょう。断ることを尊重してもらえた経験が積み重なるほど、次の手のぬくもりをより安らかに受け入れてくださるようになります。
受ける人だけでなく、差し出す人の手も休ませてあげてください
介護をされている方々は、よくこうおっしゃいます。「自分の体をいたわる余裕はない」と。一日中ご両親を起こし、支えているため肩や手首がこわばっているのに、肝心の自分の手は一度もなでてあげられていません。誰かを世話する手ほど、自分自身に戻ってくる時間が必要です。
手を差し伸べる時間は、実は差し出す人にとっても、ひと息つく時間になりえます。ご両親の手を包みながらゆっくり呼吸していると、自分の肩の力もそっと抜けていくのを感じられるでしょう。その時間が終わったら、残ったオイルを自分の手にも塗ってみてください。手の甲を包み、指を一節ずつなでる数分間が、今日一日頑張った自分への小さなご挨拶になります。
もしこの時間がまたひとつの「やらなければならない宿題」のように感じられるなら、一日二日お休みしても大丈夫です。慰めは義務になった瞬間に力を失います。心に余裕のある日、お互いの目が合う日に、気軽に始めていただければ十分です。
言葉なく伝わるもの
手のぬくもりが行き交うあいだに、ご両親がふと昔話を口にされる瞬間があります。市場での出来事、若いころの苦労話、今はもう会えない人たちの名前といったものです。そんなときは、言い直したり急いで返事をしたりせず、手はそのままに、耳を傾けてください。一緒に記憶をたどる時間は、お互いの心を近づけてくれる大切なひとときです。
何もおっしゃらずに目を閉じておられても大丈夫です。沈黙が気まずくない関係は、長い介護が残してくれる贈り物でもあります。言葉で伝えきれなかった感謝と申し訳なさ、心配と愛情が、指先のぬくもりに乗って行き交うその時間を、私は「無言の対話」と呼んでいます。
ただし、手のぬくもりがすべてを解決してくれるわけではありません。体の具合が悪いときや、普段と違う様子が見られるときは、必ず主治医や専門家に相談してください。この時間はそれに代わるものではありません。そのかわり、そうしたことを進めていく合間に、心を休める小さな句読点になってくれるはずです。
今日の心ケア実践
★☆☆今夜、ご両親のそばに座って「手を握ってもいいですか?」とお尋ねしてみてください。許しをいただけたら、両手でご両親の手を1~2分だけそっと包み込みます。言葉なくぬくもりを分かち合うだけでも、お互いの心がずいぶん和らぐことがあります。
★★☆温かいお湯に浸して固く絞ったタオルでまず手を包んで温めてから、ローションを一滴取り、手の甲から指先に向かってゆっくりなでてあげてください。片手に2~3分、力はほとんど入れず、大きな動きで撫で下ろすようにすれば十分です。手順が単純であってこそ長く続けられますし、肌が心地よくなる感覚が心の緊張もほぐしてくれます。
★★★部屋の明かりをひと段階落とし、お好きな穏やかな音楽をかけてみてください。椅子に楽に腰かけ、片手ずつ包みながら「今日一日お疲れさまでした」とひとこと添えます。終わったら、残ったローションで自分の手も同じようになでてあげてください。差し出す人も一緒に休んでこそ、翌日も温かい手でいられます。
皮膚に傷や腫れ、発疹がある部位や、痛みを訴えておられる部位には触れないでください。初めて使う製品は、手首の内側に少量塗って先に確認してください。普段と違う症状がある場合は、この時間よりも専門の医療スタッフへの相談が先です。
For more heart-care stories, visit the Korea Self-Healing Association.
Kim Mi-hee — aromatherapist, social worker, certified care worker, and hospital companion manager — draws on her own experience caring for aging parents to write practical, useful guidance for caregivers in the same situation. The Korean Today, Nam-Incheon.
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[ キム・ミヒ記者: incheonsouth@thekoreantoday.com ]
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